Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Leggi 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 209.260 caratteri · 418 schermate

Aozora Bunko

三

吉保はふと気づいて、

「なにか。開けてもよい」

と面を向けていった。

「検校が、おいとまを戴いて帰りたいと申しておりますが」

小姓のことばを聞くと、吉保は急に思い出したらしく、

「そうそう、夕方から待たせてあったな。待ちくたびれたと見える。もう暫し怺えておれと申せ。間もなく、寝所へまいるほどに」

ふすまが閉まる。

小姓の跫音が静かに遠ざかると、紋太夫はかれに訊ねた。

「杉山検校でございますな」

「そうじゃ、時折、眠りにつくまえ療治してもろうておるが、老人気短か者で、よう渋面を作る」

「諸家から招きが多いようですから、むりもございますまい。長座いたしましたが、てまえも程なくいとまいたします」

「そちの長座ではない。吉保の身勝手じゃ。まあ話せ」

と、かれにもなお、紋太夫を通して、訊きたいことがあるらしい容子だった。

吉保の気にかかるのは、何といっても、光圀という存在である。その後、まったく世を遠く離れて隠棲しているに違いないが、かれには、むしろそのほうが捕捉できない気味悪さであった。

柳営にあるときの光圀のすがたは、いつも柳営いっぱいに感じられたように、野にかくれるとその存在は、かえって日本中にある気がされる。