Classici giapponesi con furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Leggi 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 209.260 caratteri · 418 schermate
六
――領主は国法によって大罪の者を殺すもぜひないが、隠居の自分がその後生を憐れんで供養するはよかろうと、自らいった。日ごろ乗っていた馬が死ねば馬も久昌寺に弔うてやった。
六
――もののあわれを解さぬさむらいは、たとえば香も色もなき花にひとしい、とは老公のよくいうところであった。
かれの寛やかな「人をゆるす」心もそこから湧き出るものであろう。おたがいは人間――かれは実におのれの凡も愚もわきまえて、ひとしく衆の煩いへも、その同情を分け思い遣るのである。
月の夕べ、花のあした、多感な老公はおそらく魂魄となるまでそうした人の悩みを身の患いに悩むであろう。時に酒を呼んで、那珂の賓閣に、人間の至楽を極めるかのような閑日にあってもである。かれの想いは、田野の貧屋に馳せ、ままならぬ世態と、国の久遠の先の先まで、憂いかなしみ、また信じたり希望したり、そして酒も尽き興もつきれば、詩を吐いて、いまこれを解するもののないことをまた独りさびしんだ。
「申しあげます」
「なにか」
「ただ今、西山から剣持与平どのが、早馬で参られました」
「与平が。……早馬とは」
「すぐお目通りいたして、何か火急にお耳に達したいと申されておりますが」