Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Leggi 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 209.260 caratteri · 418 schermate

Aozora Bunko

四

「はやいはなしが、この碑を建つという仕事にせよ、及ぼすところは、無限だろう」

「だが旦那、いったい黄門さまは、何を思い出しなすって、ふいに、楠木正成さまの碑なんぞお建てになる気になったんですか」

「いまの世のなかへ、地下の正成公を、およびする必要をお感じになったからだ。――ただ草蓬々の塚をあらためてご供養するだけなら、これはご隠居さまのお名をもってなされなくても、どこかの坊さんに頼めばいいわけだからな」

四

職人かたぎだ。初めのうちは、こんなはなしなどに、耳をかたむける石屋の権三郎でなかったが、佐々介三郎のそばにいるうち、いつか変ってきたのである。

ところが、その親方の石権以上に、介三郎がそんなはなしでもして聴かせていると、かならず物蔭か、うしろに佇んで熱心に聞き入っているもうひとりの男があった。下職ではない、石工の手伝いをしている人夫である。

「勘太、勘太」

と、みなから呼ばれていた。

その勘太というのは、この五月上旬、佐々介三郎がいちど国許へもどって、西山荘の老公から直接いろいろな指図を仰ぎ、またその折、老公の筆になる碑銘の「嗚呼忠臣楠子之墓」の揮毫もできていたので、それを大事に持って、ふたたび上方へのぼって来る途中――箱根の山で拾った男であった。