Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Leggi 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 209.260 caratteri · 418 schermate

Aozora Bunko

五

血が黒く光るのである。

「ところのお役人方でござるか。ご苦労にぞんじます」

すすんで介三郎のほうからいった。羽織を着たのが、上役とみえる。この辺の海からあがるトラ河豚みたいな顔をしている。横へいはこういうひとの通例だが、より以上、いやな感じを与える眼ざしで、

「おてまえは?」

「もと水戸家の臣、佐々介三郎でござる。よんどころなく」

いいも終らぬうちトラ河豚は、十手を示して、かれに縄を打てと部下に命じた。

五

縛れ――と命じられたが、かれの部下は、介三郎のそばへただちに寄りつけなかった。

「なに」

らんと、眼に怒りを見せた介三郎の身がまえに、反対の威圧をうけたからであった。

上役のトラ河豚は、さすがに動じなかった。悪党はあつかい馴れているぞという落着きぶりである。

「ともかく、参るがいい」

「どこへ」

「代官所へ」

「行く要はない。……それよりも、はやく死人、怪我人などの検視をすませてもらいたい。さもないと、手おくれになる重体もおる」

「なにをいう、その方が手をかけておきながら」

これはトラ河豚のいうほうが常識では正しそうだ。しかし介三郎は、屈服しない。

「逃げかくれするこの方ではござらぬ。