Classici giapponesi con furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Leggi 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 209.260 caratteri · 418 schermate
そして自分の行政ぶりから、する事なす事まで、あの静かな眼でじっと見ていられる気がしてならないのである。
「西山の隠居には、昨年から、兵庫の湊川とやらに、楠公の碑を建てにかかっておるとか聞いたが、もう出来たのかな」
「係りの佐々介三郎なる者が、先頃、西山への帰途、小石川のお館にも立ち寄って、委細報告して帰りましたが、それによると、はや竣工した由にございまする」
「どういう本心かの」
「本心とは」
「隠居の考えのあるところは。――水戸の田舎にひき籠って、鍬など持っているかと聞けば、古文書や史籍を借ると称して、堂上や諸侯へ使臣を通わせ、また、碑を建つなど。……湊川へはそのあいだ自身で出向いてはおらぬのか」
「一切、お微行はございません。もっとも、お若い頃には、よく諸国を飛び歩かれたものですが」
「いつか柳営で、その旅のはなしが出た折、将軍家の問いにたいし黄門光圀が答えられたことばには、自分ほど世間を歩いていないものはない、東北では、将軍家のお供をして、日光の御廟へ詣ったのが、ただ一つの思い出であり、東海道筋では、幼年のとき鎌倉の菩提寺へ参詣したことがある限りじゃ。――この老齢にいたるまで、旅といえば、そのふたつが、最も遠方に行った旅でしかない――などと喞っていたが」