Classici giapponesi con furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate
鮑売り
「どうしても、言わねえな」
「あ、おら、義理がてえから」
「何を言やがる」
繁のふり上げた拳が、ぐわんと、安の横鬢にひびいた。
「野郎」
安のこぶしは、繁の鼻を突いた。
「やったな」
「やったとも」
駕屋だまりの羽目板には何本もの、艶の出た舁き棒が、立てかけてあった。それを持つと、繁は、九紋龍のように、躍り出して、
「さ、出てこい」
「おッ、へどをつくな」
安も、その一本をふりかぶって、魯智深みたいに、往来へとび出した。
と、たまりの軒先に、最前から一挺の駕がおいてあった。駕のうしろに、江の島土産の貝細工や漬物樽が下げてあるから、この宿で、一息いれて、仲継ぎの人足が来るのを待ち合せているらしい。――その駕の中で、声がした。
「両人とも待て。――立ち騒いで鎮まらぬと、ふたりともに、成敗いたすぞ」
鍔の鳴る音。
ぱらりっと、駕のタレが、刎ね上がった。
羅門塔十郎その人であった。
鮑売り
「来い」
塔十郎は、どぎもを抜かれた繁と安へ、こう顎を引いて、
「――来い、仲直りをしてとらせる」
と、先へ雪踏を鳴らして、歩き出した。
「どうしよう兄弟」
「成敗するって言ったぜ」
ふたりは、醒めた顔を見あわせた。