Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

人焼竈

「オイ、みんな出て来い!」

手をあげると、四方の笹むらや、木蔭や、岩の蔭から――

「何だ、もう済んだのか」

「少し呆ッ気ないぞ」

含月荘の武士どもであった。山いでたちに、革襷を締めこんだのが、十四、五人ばかり、わらわらと飛び出してそこに集った。

不意に、八弥を昏倒させた侍は、

「この通りだ」

と、得意げに地上を指さして、

「ご家老は?」

と、見廻した。

「先に、主水様とご一緒に、如意ヶ岳の作兵衛の小屋へ行って、お待ちうけになっているはずだ」

「そうか。じゃすぐに其奴を引ッ担いで行け」

「心得た」

首を持つ、足を担ぐ、腰を支える。

八弥の体は、人間の波の上に浮き上がった。彼は、宙に足を振って、何か叫んだが、すぐに、昏々と仮死してしまった。

「――それッ、急げ」

と、真っ黒に、そのまま走り出そうとすると、玉枝の笑い声が後ろでひびいた。

「もし、私を忘れちゃ酷いでしょう」

「あ、玉枝どのを」

「そうだ、縄を解いてやれ」

彼女は、麻痺れた両つの腕を空へ伸ばした。

「上手くいったね。――同心なんていう者は、悧巧そうで、案外馬鹿なものさ。ゆうべ、こっちの密談を偸み聞きして、とうとう捕まえ損ねたから、きょうは、わざと私が囮になって、この叡山道の奥まで釣りこんだとは知らないで、人のことを、悪運が尽きたの、何だのと、いい気になって講釈を言うから