Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

死笑靨

と――すぐに、東儀与力は、眼くばせをして、鎧櫃のそばへ寄った。八弥と耀蔵とは、苦痛をこらえながら、燭を持った。

「怪しいのはこれだ。……ウーム、かなり重い、どこかの武家屋敷から盗み出した贓品だな。や、入念に、定紋まで削り落してある」

錠前を打ち壊して、ぽんと、蓋をあけた。

「あっ?」

とたんに、誰もが、思わず面をそむけた。

死笑靨

鎧櫃の中からは、むうっと、霧のような血腥いものが立って、かざしている蝋燭の灯が、墨のように、またたいた。

「死骸だ!」

「――女じゃないか」

白い仮面のような女の顔――バラリと黒髪がかかって、簾越しの月のように、やわらかい絖と長襦袢の中に埋まっている。その髪の毛を、掻きよせてみると、どうだろう、白蝋みたいな女の頬は、ニッと、笑靨が泛かんでいるのだ、いかにも、死を満足しているように――。しかも、まだ死んでから幾時間も経ってはいない。口紅の色さえ、光っている。

東儀与力は、手をさし込んだ。引き摺り出してみると、ああ、やっぱり駄目だ! 女の体は、鼓のように、細紐で巻き締めてあって、左の乳の下に、鮫柄の短刀が、根まで突きとおして、抜かずにある。