Classici giapponesi con furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate
罠に寄る美獣
名人でも鬼神でも、夜の明け方までに、何で、真の犯人を捕えることができるものか。わしは、平常、後輩の者に教えた自説に対しても面目ないが、諦めた。同時に、これが、わしの生涯の終結じゃ。……加山、わしは死ぬ。なんの面目あって、のめのめと、生きていられるものか。おまえも、共に死んでくれい。意気地のない、老先輩を師と仰いだのが、身の不運と思うて、共に、死んでくれい。……よ。加山」
耀蔵は、考えてもいなかったことをふいに言い出されて、はっと、恥しい怯みに衝たれたが、枯木のような老人の腕は、彼の帯ぎわをずるずるとつかんで、河岸の柳の樹の下に、共倒れに、よろめいて行った。
「加山! 死んでくれい……」
老先生は、もう、右の手に、短い前差を抜いていた。
罠に寄る美獣
人間の心理は複雑だ。死ぬまぎわまで、複雑だ。
老先生が、はやくから言いたかったのは、その死だったのである。だが、死を決行するまえにも、彼は、父として、わが子を、真の犯人であるとは言いたくないのであろう。
耀蔵は、そう察した。
同時に、彼も、死を考えた。
自分も、無断で、公役の途中から脱走してしまった体だ。