Classici giapponesi con furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate
この頃、急に評判が立った。――よく中たる、実によく中たる。そういう噂で、ひどく流行りだした乾坤堂という売卜者。
毎日は出ないが、三の日、五の日、七の日に出る。場所は蔵前の閻魔堂の境内。九尺二間の借家が出張所で、今日は、月の三の日にあたるので、もう朝からだいぶな客があった。
「先生、もう今日はこれぐらいでいいでしょう」
下足番の男も疲れたとみえて、暮六刻が鳴って客足が少し途切れたところで、こう言い出した。
「開けていたひにゃ、限りがありませんぜ」
「そうだなあ。七刻仕舞いが規則だが……。きょうはだいぶ見料が上がった。早仕舞いとして、一杯飲もうか」
「たまには、そんなことがあって、ようがすよ。先生のように、金を儲けちゃ、仕舞い殺しにするばかりが能じゃありませんぜ」
「あははは。では、ぼつぼつ片づけるか」
と、筮竹を袋に入れかけた時である。
「あの……乾坤堂の易者様は、こちらの先生でございますか」
門に、女の声がした。
下足番の男は、舌打ちをして、
「もう今日は、仕舞いました。また明日じゃねえ、次の、五の日にでもおいでなせえ」
「あ……これこれ」
と、奥の机から首をのばした乾坤堂は、四十をやっと、二つか三つ越したくらいな年配、総髪をきれいに後ろへ撫で、髯の手入れもとどいて、すこし赭ら顔に、鼈甲ぶちの眼鏡をかけている好色家らしい