Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

寝ているところを揺り起されて、牢鞘の外へ引っぱり出された唖男は、きょとんとした顔で、

「? ……」

東儀与力の顔を、顔負けがするほど、じいっと、見ている。

放免状を読んで――といっても形式だけであるが、手真似と表情とで、牢を出して帰宅をゆるすからどこへでも行け、という意味を呑みこませてやる。

が――唖はうれしそうな顔もしなかった。

張合いのないこと夥しいが、こっちには計画があるから、予定を運んで、召捕った時に、彼が持っていた穢い財布――むろん沢山ははいっていないが――それと叺の煙草入れ、鼻紙などを、返してやる。

それで唖も、やっと少しわかったらしく、ぺこんと一つお辞儀をして、伝馬牢の裏門から突き出された。

さて、どこへ行くだろう?

老先生の妙智、果たして中たるかどうか。――と東儀与力も気が気ではないのである。だが、その姿のまま、後ろから尾いてゆけば、加山、波越のふたりの潜行に邪魔をするようなものだから、いったん門を閉めて、雨水溜めの天水桶を踏み台にして、高い塀の上にすがり、首が生えたようにして、見送っていた。

「ウム……紙屑屋の加山がうまくからんで行くな。