Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
「敗血症ですな。死因は」
若い町医は彼に説明した。床ずれから化膿菌が入ったのだ。
「動脈硬化で心臓も弱り、皮膚まで栄養が廻らない。そこで床ずれになってしまうのです。看護が足りないせいじゃない」
「意識はあったのですか?」
「いや。ずっと昏睡状態でしたね」
診断書をもらって外に出て、栄介はせかせかと歩いた。悲しみよりも、ほっとした気分があった。看護の手落ちでないこと、死の苦痛がなかったらしいことが、栄介の気持をすくった。
「親の死に目に会えないなんて――」
彼はいまいましげに礫を蹴った。
「昏睡状態だから、仕方がない。こちらが会っても、おやじはおれに会えないのだ」
栄介は気分を変えるために、海岸に出た。白い砂浜には漁舟が並び、網が干されている。波打際には名も知れぬ海藻が打ち上げられ、子供たちが石を投げたりして遊んでいた。静かな内海である。福次郎は釣りが好きであった。栄介も城介も釣りが好きなのは、父親の感化でもある。栄介は波打際まで行き、貝殻を五、六箇拾い、ポケットに収めた。
「そんな差出口はよしてもらいましょう」
栄介は怒りをこめて言った。彼は酔っていた。疲労は烈しかったのに、神経の末梢がぴりぴりしていて、酔いがへんにこじれていたのだ。