Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じけいろく

自警録

新渡戸 稲造

Leggi 自警録 (じけいろく) di 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 168.224 caratteri · 328 schermate

Aozora Bunko

試験の最中の事であれば、三千になんなんとする青年を収容した学校も、百人ちかくの試験官の見張り監督していても、ただ水を打ったように静寂を極めて、廊下の板をふむ巡視の靴音さえも聞こえないほど静かで、ほとんど人なきがごとき様であるところの玄関に、何用あって婦人のいることか、その理由もちょっと解し難かったから、僕は小使に代って、この婦人に向い、その用を質して、

「もし学校の事務所に御用ならば、あの玄関へ、もし生徒の寄宿寮に御用ならば、そちらの玄関でお尋ねなさい。ここにはちょうど試験の最中で人がおってもいないようなものです」

と心附けたが、その婦人はさもそのへんのことは承知のごとく、妙な顔をして、

「ハイ、ここで待っております」

というだけで、さらに動く様子も見えなかったから、

「貴女のお尋ねになる方は、ここにいる人ですか」

「ハイ、いま試験しております」

「そんなら、先生ですか、生徒ですか」

「生徒でございます」

「生徒ならばまだ急に出る訳には行きますまい。試験は十一時までですから、もう二時間もあります」

「ハイ、それも承知しております」

「そんなら、もう二時間もここでお待ちになるのは非道ですから、あちらに休む所があります。