Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

「へえ……来ましたか」

お島は息のつまるような声を出して叫んだなり、男の顔をしげしげ眺めていた。

「いつ来ました?」

「十一時頃だったろう。着くと直ぐ、連れて帰ると言うから、お島さんが此方へ来ている話をすると、それじゃ私が一人で行って連れて来るといって、急立つもんだからな」

「ふむ、ふむ」

とお島は鼻頭の汗もふかずに聞いていたが、「気のはやい御父さんですからね」と溜息をついた。

「それでどうしました」

「今あすこで一服すって待っているだが、顔さえ見れば直ぐに引立てて連れて行こうという見脈だで……」

「ふむ」と、お島は蒼くなって、ぶるぶるするような声を出した。

「御父さんにここで逢うのは厭だな」お島は手を堅く組んで首を傾げていた。「どうかして逢わないで還す工夫はないでしょうか」

「でも、ここに居ることを打明けてしまったからね」

「ふむ……拙かったね」

「とにかく些と逢った方がいいぜ。その上で、また善く相談してみたらどうだ」

「ふむ――」と、お島はやっぱり凄い顔をして、考えこんでいた。「東京を出るとき、私は一生親の家の厄介にはなりませんと、立派に言断って来ましたからね。今逢うのは実に辛い!」