Classici giapponesi con furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate
六十八
「どうしてでしょう。こんな病気があるんだろうか」
職人がくすくす笑出した。
「そんなこって善く年季が勤まったと思うね」
「莫迦いえ」小野田は性がついて来ると、また手を働かしはじめた。
色々なものの支払いのたまっている、大晦日が直に来た。品物でかりた知合の借金に店賃、ミシンの月賦や質の利子もあった。払いのこしてあった大工の賃銀のことも考えなければならなかった。
「こんなことじゃとても追着きこはありゃしない」お島は暮に受取るべき賃銀を、胸算用で見積ってみたとき、そう言って火鉢の前に腕をくんで考えこんだ。
「もっともっと稼がなくちゃ」お島はそう言って気をあせった。
六十八
大晦日が来るまでに、二時になっても三時になっても、皆が疲れた手を休めないような日が、三日も四日も続いた。
夜が更けるにつれて、表通りの売出しの楽隊の囃しが、途絶えてはまた気懈そうに聞えて来た。門飾の笹竹が、がさがさと憊れた神経に刺さるような音を立て、風の向で時々耳に立つ遠くの町の群衆の跫音が、潮でも寄せて来るように思い做された。
職人達の口に、嗄れ疲れた話声が途絶えると、寝不足のついて廻っているようなお島の重い頭脳が、時々ふらふらして来たりした。