Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

仕事の途絶えがちな――偶に有っても賃銀のきちんきちんと貰えないような仕事に働くことに倦んで来た若い職人は、好い口を捜すために、一日店をあけていた。

病気のために、中途戦争から帰って来たその職人は、軍隊では上官に可愛がられて上等兵に取立てられていたが、久振で内地へ帰ってくると、職人気質の初めのような真面目さがなくなって、持って来た幾許かの金で、茶屋酒を飲んだり、女に耽ったりして、金に詰って来たために、もと居た店の物をこかしたり、友達の着物を持逃したりして居所がなくなったところから、小野田の店へ流れて来たのであったが、その時にはもうすっかりさめてしまって、旧の小心な臆病ものの自分になり切っていた。

来た当座、針を動かしている彼は時々巡査の影を見て怕れおののいていた。そしてどんな事があっても、一切日の面へ出ることなしに、家にばかり閉籠っていた。彼は救われたお島のために、家のなかではどんな用事にも働いたが、昼間外へ出ることとなると、釦一つ買いにすら行けなかった。点呼にも彼は居所を晦ましていて出て行く機会を失った。それが一層彼の心を萎縮させた。

今朝も彼は朝飯のとき、奥での夫婦の争いを、蒲団のなかで聴いていながら、臆病な神経を戦かせていた。