Classici giapponesi con furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate
九十七
「その証拠には、お前は私のおやじがこの席へ顔を出すのを、大変厭がったじゃないか」
私が出て挨拶をするといって、聴かなかった父親に顔を顰めて、奥へ引込めておくようにしたお島の仕打を、小野田は気にかけて言出した。
「だって可恥しいじゃないか。お前さんの前だけれど、あの御父さんに出られて堪るもんですか。お前さんの顔にだってかかります」
「昔しの旦那だと思って、余り見えをするなよ」
「人聞きのわるいことを言って下さるなよ」お島は押被せるように笑った。「あの人達に笑われますね。それが嘘なら聴いてみるがいい」
「そうでもなくて、あんな者が来たってそんなに大騒ぎをする奴があるかい」
「煩いよ」お島は終に呶鳴出した。
九十七
暑い東京にも居堪らなくなって、浜屋がその宿を引払って山へ帰るまでに、お島は幾度となくそこへ訪ねて行ったが、彼女はそれを小野田へ全く秘密にはしておけなかった。ちょっと手許の苦しい時なぞに、お島は浜屋から時借をして来た金を、小野田の前へ出して、その男がどんな場合にも、自分の言うことを聴いてくれるような関係にあることを、微見かさずにはいられなかった。
浜屋はその通っている病院で、もう十本ばかり、やってもらった注射にも飽きて、また出るにしても、盆前にはどうしても一度は帰らなければならぬ家の用事を控えている体であったが