Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate
十
八畳ばかりの風通しのいいその部屋には、紙幣の幾束が日当りへ取出されてあった。
十
お島は養父が、二三軒の知合の家へ葉書を出したことを知っていたが、おとらが帰ってから、漸と届いたおとらの生家の外は、その返辞はどこからも来なかった。
養父はどうかすると、蚕室にいるお島の傍へ来て、もうひきるばかりになっている蚕を眺めなどしていた。蚕の或物はその蒼白い透徹るような躯を硬張せて、細い糸を吐きかけていた。
「お前阿母から口止されてることがあるだろうが」
養父はこの時に限らず、おとらのいない処で、どうかするとお島に訊ねた。
「どうしてです。いいえ」お島は顔を赧めた。
しかし養父はそれ以上深入しようとはしなかった。お島にはおとらに対する養父の弱点が見えすいているようであった。
もう遊びあいて、家が気にかかりだしたと云う風で、おとらの帰って来たのは、その日の暮近くであった。養父はまだ帳場の方を離れずにいたが、おとらは亭主にも辞もかけず、「はい只今」と、お島に声かけて、茶の間へ来て足を投げ出すと、せいせいするような目色をして、庭先を眺めていた。濃い緑の草や木の色が、まだ油絵具のように生々してみえた。