Classici giapponesi con furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate
貧しい作男の哀願に、堅く財布の口を締めている養父も、傍へお島に来られて喙を容れられると、因業を言張ってばかりもいられなかった。遊女屋から馬をひいて来る職工などに、お島は自分の考えで時々金を出してくれた。それらの人は、途でお島に逢うと、心から叮嚀にお辞儀をした。
大方の屋敷まわりを兄に委せかけてあった実家の父親は、兄が遊蕩を始めてから、また自分で稼業に出ることにしていたので、お島はそうして帰って来ていても滅多に父親と顔を合さなかった。毎日々々箸の上下しに出る母親の毒々しい当こすりが、お島の頭脳をくさくささせた。
「そう毎日々々働いてくれても、お前のものと云っては何にもありゃしないよ」
母親は、外へ出て広い庭の草を取ったり、父親が古くから持っていて手放すのを惜んでいる植木に水をくれたりして、まめに働いているお島の姿をみると、家のなかから言聞かせた。広い門のうちから、垣根に囲われた山がかりの庭には、松や梅の古木の植わった大きな鉢が、幾個となく置駢べられてあった。庭の外には、幾十株松を育てある土地があったり、雑多の庭木を植つけてある場所があったりした。この界隈に散ばっているそれ等の地面が、近頃兄弟達の財産として、それぞれ分割されたと云うことはお島も聞いていた。