Classici giapponesi con furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate
坐って事務を取るようなところは、碌々小学校すら卒業していない彼女の学力が不足であった。
お島は時とすると、口入屋の暖簾をくぐろうかと考えて、その前を往ったり来たりしたが、そこに田舎の駈出しらしい女の無智な表情をした顔だの、みすぼらしい蝙蝠や包みやレーザの畳のついた下駄などが目につくと、もう厭になって、その仲間に成下ってまでゆこうと云う勇気は出なかった。
お島は日がくれても家へ帰ろうともしず、上野の山などに独でぼんやり時間を消すようなことが多かった。山の下の多くの飲食店や、商家には灯が青黄色い柳の色と一つに流れて、そこを動いている電車や群衆の影が、夢のように動いていた。お島はそんな時、恩人の子息で、今アメリカの方へ行っているという男のことなどを憶出していた。そして旅費さえ偸み出すことができれば、何時でもその男を頼って、外国へ渡って行けそうな気さえするのであった。
「ここまで漕ぎつけて、今一ト息と云うところで、あの財産を放抛って出るなんて、そんな奴があるものか」
お島がその希望をほのめかすと、西田の老人は頭からそれを排斥した。この老人の話によると、養家の財産は、お島などの不断考えているよりは、に大きいものであった。