Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

因で、到頭不幸な胎児が流れてしまった。

その時お島は、飯の支度をすまして、衆と一緒に、朝飯の膳に向って、箸を取かけていた。もう十月の半で、七輪のうえに据えた鍋のお汁の味噌の匂や、飯櫃から立つ白い湯気にも、秋らしい朝の気分が可懐しまれた。

女を追って、田舎へ行ったきり、もう大分になる総領の姿のみえぬ家のなかは、急に衰えのみえて来た父親の姿とともに、この頃際立って寂しさが感ぜられて来た。食かけた朝飯の箸を持ったまま、急に目のくらくらして来たお島は、声を立てるまもなく、そこへ仆れてしまったのであったが、七月になるかならぬの胎児が出てしまったことに気の附いたのは、時を経てからであった。

一目もみないで、父親や鶴さんの手で、産児の寺へ送られていったのは、その晩方であったが、思いがけなく体の軽くなったお島の床についていたのは、幾日でもなかった。

健康が回復して来ると同時に、母親と植源の隠居とのどうした談合でか、当分植源にいっていることに決められたお島は、そこで台所に働いたり、冬物の針仕事に坐ったりしていた。ぐれ出した鶴さんは、口喧しい隠居の頑張っているこの閾も高くなっていた。