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Classici giapponesi con furigana

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こころ

こころ

夏目 漱石

Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

二十九

先生は苦笑した。懐中から蟇口を出して、五銭の白銅を小供の手に握らせた。

「おっかさんにそういっとくれ。少しここで休まして下さいって」

小供は怜悧そうな眼に笑いを漲らして、首肯いて見せた。

「今斥候長になってるところなんだよ」

小供はこう断って、躑躅の間を下の方へ駈け下りて行った。犬も尻尾を高く巻いて小供の後を追い掛けた。しばらくすると同じくらいの年格好の小供が二、三人、これも斥候長の下りて行った方へ駈けていった。

二十九

先生の談話は、この犬と小供のために、結末まで進行する事ができなくなったので、私はついにその要領を得ないでしまった。先生の気にする財産云々の掛念はその時の私には全くなかった。私の性質として、また私の境遇からいって、その時の私には、そんな利害の念に頭を悩ます余地がなかったのである。考えるとこれは私がまだ世間に出ないためでもあり、また実際その場に臨まないためでもあったろうが、とにかく若い私にはなぜか金の問題が遠くの方に見えた。

先生の話のうちでただ一つ底まで聞きたかったのは、人間がいざという間際に、誰でも悪人になるという言葉の意味であった。