Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
二
「これじゃあくつろがないし、何だか変だから。――私の着物はどこ?」
二
「何しろ私が寝ていたから、どうも手の廻らないことと云ったら、お話のほかだよ」
多計代は、テーブルに両手をついて立ち上った。
「さっき温めて置くように云ったのだけれど、どんな有様だか」
伸子が出発する頃は普請中であった部屋部屋が、すっかり今は住み馴らされていた。母の居間は手綺麗な四畳半になっていた。低い茶室好みの襖が二人の背後で閉まると、伸子は、
「ねえ、どうしたの、いったい」
と云い出した。
「何だか行き違いがあるようね」
炬燵の火加減をなおすのにうつむいたまま、多計代は答えた。
「ああ。――実はお前が、こんなに急に帰ろうとは思っていなかったのでね」
「どうして?」
伸子は意外なことをきくと思った。
「あの手紙を戴くとすぐ電報を出したのに、着かなかったの」
「私は父様がそんなことを云っておやりになったなんてこと、ついこの間までちっとも知らなかったのさ。――けれども、今度こそ覚悟したよ。予定より俄に早くなったので、いざという時、産婆さえ来ていないと云う始末だったもの」
「いつだったの?」
「十一月の二十八日――一月早かったわけだね」