Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
五
――お分りになる?……だから、佃がよい、わるいは抜きにしたって、この点で、どうせ母様は満足おできなさらないだろうと思うわ。私は野蛮人だから、生活だって何だって、自分の手で自分の欲しいのを掴んで見なければ承知しないたちなのよ……」
伸子は黙った。多計代も黙っている。二人は永いことそうやって、煖炉の低い焔が、時々ひら、ひら、燃え上って、あたりをぼんやり赤く照す夕闇の中にいた。
五
空が晴れ渡って、風が、椿の艶ある葉をゆるがして吹いた。
山吹がもしゃもしゃ茂り、小枝の折れ、落葉など、雑然とかさなりあっている手入れされたことのない庭の隅に、杜若がぞっくり揃った芽を出していた。青々したその芽生えのところだけは、特別日光がたまるかと思うほど、明るく美しく見えた。――暖かい。……眼を細め、その強い緑色の中にある明暗を眺めているうちに、不思議な烈しい感覚が伸子の全身を流れた。伸子は、喉につっかけてくるようなときめきを感じながら、力一杯のびをした。彼女は、拳固を握ったまま、その腕をぐるりぐるりと振りまわした。腕が白く光って震えた。
風がまた渡った。――真竹の藪がさやさやと鳴った。