Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
この間から母の心に溜っていたものが、いよいよ溢れ出した。
「そうお――何かあったの」
多計代は、伸子をじっと眺めた。
「あっちで聞いて来ただろう?」
「いいえ」
「……こうなのさ……」
話しかけながらも、多計代はさも厭わしそうな顔をした。
「――こんなことを繰返して話したりするのも大人気ないようで、本当に不愉快だがね……まあ初めから云わなければ解らないことだから。――お前が出かけて間もなく、あの人も独りで淋しかろうと思って、お茶に呼んだのさ。丁度保やつや子はいないし、いい折だからと思ってね、私はいろいろ二人きりで話す積りだったんだよ。お前も知っている通り、私にはまだあの人というものが、しっくり腹に入っていないし、これまでしんみり話す機会もなかったしね――私の心持では、まあ隔意なくお前というものに対しての意見も交換したかったのさ、口の先だけでお母さまお母さまと呼ばれるばかりで、妙に他人行儀な気持を両方で持っていては堪らないからね」
「そうだわ」
「私は馬鹿正直だから、きっと佃さんもそう感じて、真率な心持になってくれるだろうと期待したんだが――それが間違いさ」
多計代の顔に新たな腹立ちが甦った。