Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate

Aozora Bunko

さえ知らず、一生を終るのだろうか? 伸子は、目に見えないうちにすぎ去る生活を惜しみ、不安に襲われた。――

三月になってから、ある日、動坂へ行った。親戚の子供が来あわせて賑やかであった。皆を集めて、和一郎が写真をとった。それがすむと、和一郎は伸子だけを、また別に迎えに来た。

「今日は光線の工合がいいから、姉さんだけでもう一枚とらない?」

「そうね」

伸子は、元来よそゆきになって、商売人に写真をうつされることが嫌いであった。彼女は、弟にすすめられると、近頃自分がどんなに見えるか、と好奇心をもった。

「じゃあ、とって貰おうかしら……でも、ぼやぼや幽霊みたいなのはいやよ」

「大丈夫さ! こんな天気にしくじるなんて、決してありゃあしないさ」

伸子は、弟と連立って客間の庭に廻った。そして、木犀の前に立った。

数日後行くと、それが現像できていた。

「丁度乾かしたところよ、もういいだろう」

伸子は、一緒に和一郎の仕事部屋へ行ってみた。洗濯場の奥を区切り、薬品を沢山並べた小窓のところに、印画が乾かしてあった。

「まあ何枚もあるのね、皆あの時の?」

「ううん、あとでつや子と大学の御殿へ遊びに行った時のもある。