Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
彼女は、早くこじれないうち、互にさっぱりするのが肝要と思った。心持の上で、迷惑を受けずにはすまされまい父や、和一郎も気の毒であった。伸子は短いノオトと鍵を隣りに頼んで出た。
多計代は、気軽く平常通りな伸子を見ると、
「――おいでなさい」
と、蟠りのある調子で迎えた。
「今日は」
母は、自分でせず、女中を呼んで茶を入れさせた。
「そこいらに、長崎のカステラがあったようだが……よかったらお上り」
伸子は、母が、深く考えた結果ある不愉快を抱いているのではなく、感情的にむしゃくしゃし、そのむしゃくしゃを、自分から棄てまいと、重々しくしているのを感じた。
「何かお話があるんだって?」
「……もうわかっているだろう」
「……和一郎がちょっと話したけれど、細かくはわからないわ……何もまだ伺わないんだもの」
「――自分の書いたものだから、お前にはもちろんわかっているだろうが、今度のはいったい、どう云うつもりで書いたのかい」
伸子は、気まずさを我慢して、丁寧にモウティブの説明をした。しかし多計代は、それを皆までしんみり聞きしめず、
「そりゃあ、お前の理窟はどうでもつくだろうがね」
と云った。