Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「私どもは――もう永いこと腹の中で衝突していてよ、もちろん、あなたはそれをご存じだわ。でも、まるで、こうやって私が切り出すまで、知らんふりじゃあないの? なぜ? 私はね、そういうあなたが――厭で――……憎らしいの。そう感じながら、私はまた私で、近頃は何だか正直に、あなたにそんなことが云えない――こじれているの。そんなにもたもたしながら、綺麗な顔をして、旦那様、奥様になってすましているのは、私恥しいのよ、全く」
佃はもう本などかまわず、腕組みをし、微かに唇を震わしながら、圧しつけるような声で云った。
「――私が、こんなに真心をかけて愛しているのに苦しめるのは全く気の毒です。――しかし、別に暮すなんて云うことは絶対にできない」
夫の口から、すらすら真心とか愛とか云う言葉が出るのを、伸子は、間のわるい疑わしい心持で聞いた。彼女は、
「なぜ絶対にできないの?」
と云った。
「夫婦は夫婦なのよ、ただ生活法だけ、二人の書生にかえってやりなおして見るのよ」
「できません! 考えて御覧なさい、かりにも教壇に立って教える者が、こんなことで、どうして人に顔向けができます?――折角、理想的な結婚だと思われているのに」