Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
同じように、佃も内心では絶えず伸子をこのように攻めているのか。
伸子は、暗澹とした心持で台所へ行き、黙って女中に空のスープ皿を渡した。
何心なくしゃべりながら、佃の枕の工合をなおしたりしている瞬間、伸子は不意にこのことを思い出すことがあった。心が眼をみはって、気軽そうに物を云っている二人の心底の恐ろしい暗さを照した。――伸子は急に苦しくなって、唇がすくむのを覚えた。自分が佃に行届いた看護をしようとするのも愛からではない。自分が冷酷でありたくない――つまりは自己満足のためだ。伸子にそうささやくものさえあった。自分がもっと生一本な人間であったら、このような仁者ぶりは蹴とばしたろう。
全く自然にやりかけていた自分の単純な行為まで、変に偽善的なところがあるように思われ、伸子は苦々しく痛む心で、いそいでやりかけのことを片づけてしまう。佃にそれが、伸子のむら気、面倒くさがりとしかとれないのがよくわかった。伸子は悲しかった。自分が佃でも、憎らしく感じるだろう――これは切ないことであった。
ある宵、伸子は暫く自分の部屋に入っていた。気がつくと、家じゅうひどくしんとしている。