Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「窮屈なのよ、世間知らずだから。私それは間抜けなんだもの」
佐保子は伸子より十幾歳か年長で、文学上の先輩であった。女学校の四五年時分から伸子は彼女の制作に親しんでいた。自分がこれから進もうとする道に既に踏み出している先達、そういう意味で尊敬と刺戟を感じつつ数年経た。ところが偶然の機会から交際が始まった。互のよいところで鼓舞し、仕事で励み合うという種類の友愛がかもされた。佐保子が永年の間いろいろの困難や苦痛と黙って闘いつつ、撓まず芸術を研いて行こうとする努力の姿は、伸子にとって少なからず薬であった。結婚してから生活ががたがたになり、何にもできないとき心がぐちで漲っても、伸子は佐保子にそれをとても訴え得なかった。佐保子はもっと辛さを知っているかもしれぬ。それをあのようにしっかり堪えてやって行くではないか。そう思うのであった。
話のつづきで、部分的にそういう心持を告げると、佐保子は、
「あなたなんか買いかぶるのよ」
と、しんみり笑った。
「――でもね、今は私ある程度まで生活というものを客観的に見て落着けるようになったけれど、こうなるまでには昔持っていたよいものもたくさん失ったわ。