Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
沢村は家庭医らしい物馴れた調子で云った。
「しかし決して御心配なさるには及びませんよ。極めて軽微な兆候が現れたばかりですし、やっぱりこういう病気は、かかる人の平常の健康状態によりますからな。貴方なんぞ栄養はおよろしいし、痼疾はおあんなさらないし――大丈夫、十日もすれば御全快でしょう」
佐々は、ホテルでは不便だから、入院してもよいと云った。
沢村は寝台の傍に立っている伸子を眺めながら、
「立派な看護婦さんがおいでらしいから、却って今お動きなさらん方がよろしいかもしれません。――もっとも、家へ来ていただいた方が儲かりますがな、ハッハッハ」
と笑った。
薬剤師の買物やさしずめ沢村へ薬とりに行ってくれたりする者は佃しかなかった。伸子は彼に電話をかけた。
佃は間もなく薬品類の包みを抱えて現れた。彼は伸子を助け自分の立場を理解しているものの自信を以て振舞った。佐々は夜少量の葡萄液を飲んだだけであった。佃と伸子は食堂へ行ったが、華やかに装って談笑する人々、燦く食卓の光景は、今まるで彼女の心に迫る力を失ってしまった。佃は、
「あまり御心配なさらない方がようございます」
と伸子を慰めた。