Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
陽気に喋っていた佐々は、伸子の泣声で、本当に愕かされた。
「どうした」
佐々は伸子の顎に手をかけて顔を自分の方に向けさせた。
「何という色だ、この顔は! 寒いのかい? え? 何? 苦しい? そりゃいかん、直ぐおやすみ、さ、すぐこの部屋でお寝」
伸子は、それに答えずむっつりし、藪睨みのような眼つきで佃の服装をじろじろ見た。彼女は、とってつけもなく、
「馬にお乗りになるの?」
ときいた。佃は上着だけ背広を着、下にカアキ色の粗織襯衣と膝まである長靴を穿いていた。佃は伸子の問いにかえっておどろいたらしく、
「ああこれはY・M・C・Aの服です」
と手短かに答えた。
「――おやすみなさるがいいですよ。……疲れが出たのでしょう。きっと――心配されたから」
彼に手伝われて伸子は外套をぬいだ。
「さ――隣りへ来ておやすみ」
父は隣りにもう一つあるベッドの方へ体を動かして、その上覆いをはねた。
「あっちがいいわ」
伸子は佃に引き立てられるように足を引きずりながら自分の寝部屋へ行って戸をしめた。
「あ、どうか鍵をかけてしまわんように云って下さいませんか」
という父の声がした。
寝衣のつめたいこと! シイツの冷や冷やすること! 冷たく、寒く、あまり寒いので、伸子はウワワワワワ歯を鳴らしながらできるだけ小さく自分の体を縮めた。