Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
ミス・プラットは初めからその積りでいたらしく、伸子に二言三言云って、客間へ去ってしまった。――さらにたっぷり一時間待たなければならない。――
伸子は、ぶらぶら室内散策を始めた。前の空地に一本大きな冬枯れの樹木があった。箒を逆にして空に冲らせたようなその梢に、どうしてのこったかたった一枚、真赤な楕円形の朽葉がひらひら動いていた。それが透明な二月の碧空の前に、ぽちりと滴った血のように美しく見える。
それを眺め、これを見しているうちに、伸子はふと自分が変に間の抜けた羽目に置かれているのに心づき出した。ミス・プラットはああやって勝手に彼女の稽古をしている。それなのに自分は大していたくもない彼女のこの居間に、帽子を脱ぎ外套をとり、ゆっくりしなければならない命令でも受けたかのようにぼんやり待っている。何のために自分はここにいるのだろう? 伸子は、我知らずクスリと笑った。――だが、本当に自分は何しにここにいるのであろう?
弟子ではあるが、彼女から呼んでおいて、こうも続けさまに独り放って置くのは、変ではないか。伸子に違った部屋を与えようと云う親切であったら、なぜ前以て、彼女はいそがしいが独りで何かしているのならば、と云ってくれなかったのだろう。