Classici giapponesi con furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Leggi 吸血鬼 (きゅうけつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.554 caratteri · 381 schermate
「倭文子さん、僕はもう罪人の様な密会に堪えられなくなった。君の境遇をハッキリさせて下さい。例の畑柳未亡人というのは、一体何のことです」
三谷はある日、鹽原以来幾度も繰返した質問を、今日こそはという意気込みで持出した。「畑柳未亡人」というのは、死んだ岡田道彦が、ふと口を辷らした、倭文子のもう一つの名前なのだ。
「あたし、どうしてこんなに臆病なのでしょう。きっと、あなたに見捨てられるのが、怖いからだわ」
倭文子は冗談らしく笑って見せたが、どこか涙ぐんでいる様な調子であった。
「君の前身が何であろうと、そんなことで、僕の気持は変りやしない。それよりも、今の状態では、僕は君のおもちゃにされている様な気がするのだ」
「マア」
倭文子は哀しい溜息をついて、暫く押し黙っていたが、突然、妙なやけくそみたいな調子になって、ぶっきら棒にいった。
「あたし、未亡人なのよ」
「そんなことは、とっくに想像している」
「それから、百万長者なのよ」
「……」
「それから、六つになる子供があるのよ」
「…………」
「ホラね、いやあな気持になったでしょう」
三谷青年は、何をいっていいのかわからない様子で、黙り込んでいた。