Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
お浜は台所に行っている間、竜之助は寝ころんだままで、その尺八を聞いています。
しおの山
さしでの磯に
すむ千鳥
君が御代をば
八千代とぞ鳴く
余音を残して尺八が行ってしまったあとで、竜之助は再びこの歌をうたってみました。
しおの山
さしでの磯に
すむ千鳥……
そこへ銚子を持って来たお浜が、
君が御代をば八千代とぞ鳴く
と立ちながらつづけて莞爾と笑いましたので、竜之助は、
「よく知っている――」
「故郷のことですものを」
「故郷とは?」
「しおの山とは塩山のこと、差出の磯はわたしの故郷八幡村から日下部へかかる笛吹川の岸にありまする」
「ああ左様であったか……」
しおの山、さしでの磯に……
竜之助は無意識に歌い返してみました。
「ここにいて笛を聞くのは風流でござんすが、この寒空に外を流して歩くお人は、さぞつらいことでしょう」
お浜も、炬燵に、つめたくなった手を差し入れて、
「それも若い者ならばともかくも、今の虚無僧のように年をとった身では」
「とかく風流は寒いものじゃ――」
竜之助は起き直り、お浜の与うる盃を取上げて一口飲み、
「親父も尺八が好きであったがな」
「あの弾正様が?」
「そうじゃ、親父は頑固な人間に似合わず風流であった、詩も作れば歌も咏む」