Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
この袷は文之丞から離縁を申し渡された時に着ていた袷。そっと山へ登り、霧の御坂で竜之助に会ったとき着ていたのもこの袷。
されば無論のこと、この袷を着て竜之助と一緒に、あれから御岳の裏山伝いに氷川へ落ち、そこの炭焼小屋で夜を明かし、上野原の親戚をそっと欺いて旅費を借りて、それで二人が甲州街道を江戸へ下った時、やはりこの袷を着ていたのであります。
ここに世帯を持ってから、屑屋にも売られずに残っていることが思い出の種。和田へ来るとき甲州の姉が贈ってくれたこの袷。自分はいい気になって、ずいぶん姉様をもないがしろに取仕切った、それでも姉夫婦は自分が宇津木へ縁づくについてはさまざまに力を入れてくれ、この着物なども姉様が手縫にして下すったもの。
お浜はそれを思うと自分の我儘であり過ぎたこと、姉の親切であったことなどが身に沁みてくるのです。
「甲州へ帰りましょう」
一旦はこうも考えてみたのですが、打消して、
「ああ、どうしてそんなことができよう、そんなことができる義理ではない。さあ、そんならばどこへ行こう」
お浜は竜之助に離れて行くところはないのです。ないことはない、あるといえば、たった一つあります。