Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

外では雨にまじる風の音、稲荷の滝の音が遠く攻鼓のように響いて来る。と、その中に人の鼾。

「はて、人の鼾がするようじゃ」

竜之助は小提灯の光を揚げて見ると、四隅のいずれにも鼾の主は見えないで、見上げるところに大きな額、流るる如き筆勢で、

鈴鹿山、浮世をよそに振りすてて

いかになり行く我身なるらん

これはこれ西行法師の歌でありました。

十七

「お前にそう言われると、わしはどのようにしてよいやら」

床の柱に凭れて若い男は思案に暮れている様子を、それと向き合って女はなだめるように、

「どうと言うて真さん、今宵はここへ泊って、明日はおとなしゅうお帰りなさるがお前のため、わたしのためでござんしょう」

「それが成るくらいなら……わしはこうしてここまで来はせぬわいな」

「そんなら、どうしようと言うの」

「それはお前の心を聞いての上」

「わたしの心はいま言うた通り」

「では、わしに京都へ帰れと言うの」

「それがおたがいの上分別」

「やと言うて、わしはもう京都へは帰られぬ」

「そんな駄々を言うものではありませぬ」

「いやいやお前は何も知らぬ、わしが今日の身の上を知らぬ」

「今日の身の上というて、お前はやはり亀岡屋の跡を取る安楽な身分ではないか」