Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
お豊は、月のうち三度は三輪の神杉を拝みに行く。
三輪の大明神には、鳥居と楼門と拝殿だけあって本社というものがない。古典学者に言わせると、万葉集には「神社」と書いて「モリ」と読ませる。建築術のなかった昔にも神道はあった、樹を植えて神を祀ったのがすなわち神社である――この故に三輪の神杉には神霊が宿る云々。
三諸山から吹いて来る朝風の涼しさに、勅使殿や切掛杉にたかっていた鳩は、濡っぽい羽ばたきの音をして、悠々と日当りのよい拝殿の庭へ下りて来て、庭に遊んでいた鶏の群に交る。
「お早うございます」
豆を売る婆さんは、もう店を出して、お豊の来たのに向うから挨拶をします。
「お早うございます」
お豊も返事をして、いつもの通り、豆を買って鳩に蒔いてやります。鳩が豆皿を持ったお豊の手首や肩先に飛び上って、友達気取りに振舞うのも可愛らしい。鶏が遠くから居候ぶりに出て来て豆を拾う姿も罪がない。
お豊の面に、いささかの頬笑みの影が浮ぶのであります。
拝殿の前から三輪の御山を拝む。
御山は春日の三笠山と同じような山一つ、樹木がこんもりとして、朝の巒気が神々しく立ちこめております。