Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
お豊は、竜之助に向って何か言ってみたいようでもあるし、言い淀んでいるようでもあります。
「実は拙者も……」
竜之助は取ってつけたように、こう言って、またお豊の横顔を見ながらしばらく黙っていましたが、
「拙者には兄弟はないが、どうやら死んだ家内にでも会うような……そなた様を見てから、そんな気分も致すのじゃ――これはあまり無躾ながら、不思議なめぐり会いが、ただごとでないように思う」
「何かの御縁でございましょう。あの、あなた様にはそのうち関東の方へお立ちと聞きましたが、それはほんとうでございますか」
「うむ、拙者の身の上も……いろいろに変るので。どうやらこのごろでは、この土地に居つきたい心地もする、当家の御主人があまりに徳人で、父に会うたように慕わしくも思われるから。しかし、そのうち立たねばなりませぬ」
「さだめし、お国では奥様やお子供様がお待ち兼ねでございましょう」
「いや、拙者に女房はない、もとはあったが今はない、子供は一人ある――父親も一人」
カラカラと冴えた神楽太鼓の音が、この時、竜之助の腸に沁みて、団扇を取り上げた手がブルブルとしびれるように感じます。