Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

、小野の榛原には、青すすきが多く、大きな松や樅が並木をなして生えています。

仰いで見ると四方に山が重なって、遠くして高きは真白な雲をかぶり、近くして嶮しきは行手に立ちはだかって、人を襲うもののように見られます。

峠の上には雲雀が舞い、木立の中では鶯が、気味の悪いほど長い息で鳴いている。そして木の下萌は露に重く、馬の草鞋はびっしょりと濡れる。

竜之助は、またも旅人の心になりました。

三輪で暮らした一月半は、再びは得らるまじき平和なものでありました。竜之助の生涯に、人の情けをしみじみと感じたのは、おそらく前にも後にもこの時ばかりでありましょう。

大和の国には神ながらの空気が漂うている、天に向うて立つ山には建国の気象があり、地を潤おして流れる川には泰平の響きがある。

竜之助は、西峠の上に立った時は遥かに三輪の里を顧みて、

「さらばよ」

と声を呑んだのでありましたが、今、さきに行くお豊の馬上の姿を見ると、そこに縹渺として、また人の香いのときめくを感ずるのであります。

ちょうど西峠と榛原の間まで来た時に、向うからただ一人、旅の者がこちらを向いて足早に歩いて来ます。