Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうれいとう

幽霊塔

黒岩 涙香

Leggi 幽霊塔 (ゆうれいとう) di 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 266.479 caratteri · 532 schermate

Aozora Bunko

戸の中が、暫しの間矢張り廊下になって居る様子だが、狭い事は非常である、決して二人並んで通る事は出来ぬ。余は此の狭い所をば、挾まれる様になって三間ほども歩んでヤッと広い所へ出た。茲が即ち室に違い無い。獣類だか人だか分らぬ声を発したも此の室の中に住んで居る何かの業であろう。

多分此の室は今、医学士の婆と話して居る頭の上に当たるらしい。「アレが動くのだ」と云った物音も此の室だろう。アレの本体も此の室で分るだろう。余は狭い所から身体を半分出して様子を伺ったが、室の中には不潔極まる臭気が満ちて居るけれど、何の物音もせぬ。茲こそはと、燐燧を擦すると、未だ其の火が燃えも揚らぬ中に、忽ち右手の暗から黒い一物が飛び出し、余の前を掠めて左の暗へ跳ねて這入った。余の燐燧は消されて了った。のみならず其の物が強く余の手に触れた為、余は肝腎の燐燧の入物を何所へか叩き落された。

暗がりでは命にも譬う可き燐燧を、箱ぐるみ叩き落されては、何うする事も出来ぬ。余は真に途方に暮れ、唯身を蹐めて床の上を探る許りだ、何でも燐燧の箱を探し出さぬ事には一寸の身動きもせられぬ