Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうれいとう

幽霊塔

黒岩 涙香

Leggi 幽霊塔 (ゆうれいとう) di 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 266.479 caratteri · 532 schermate

Aozora Bunko

アア分った、余が此の室の入口へ来た時に、中で何だか話して居る様な声がしたのは秀子であった、外から叩く戸の音に、余が来たとは知らぬから時介が遽てて次の室へ隠したのだ、爾して次の室で聞いて居ると余だと分った故、室の境まで出て来たが、其の身に関する大変な談話だから、出もならず去りもならず、立ちすくんで聞いて居たのだ。

爾と知ったら余は最っと物柔かに云う所であった、最早妻にする事は出来ぬの、牢を出た身であるのと気色に障る様な言葉は吐かぬ所であった、斯様な言葉をのみ聞いて何れほどか辛く感じたであろう、定めし居耐まらぬ想いをしたに違いない、いま物音をさせたのも余りの事に聞きかねて気絶しかけ、身の中心を失って蹌踉いた為ではあるまいか、何うも其の様な音であった。

斯う思って見ると、秀子は全く身を支えかね、今や仆れんとする様である、其の顔色の青い事其の態度の力なげに見ゆる事は本統に痛々しい、仆れもせずに立って居られるが不思議である。

秀子の眼は余の顔に注いで居るか権田時介の顔に注いで居るか、寧ろ二人の間の空間を見詰めて爾して目ばたきもせずに居る、アア早や半ば気絶して居る