Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Leggi 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.140 caratteri · 396 schermate
「ちょうど五十日前になくなりました」といってその人は悲しい表情をした。私はこんなことをきかねばよかったと思い、話題をかえるつもりで、
「失礼ですがあなたは戦争にでも御出になって負傷なさったので御座いますか」と、たずねた。
するとその人は更に一層悲しそうな表情をしていった。
「妻のなくなった同じ日に眼と足に負傷したのですよ。ですから、まだ義足をはき馴れてもおらず先刻はとんだ失敗をしたのです」
私はその時、その人の悲しみに同情するよりも、私の予想が当ったような気がして、その人の不具となった事情がききたくてならなかった。しかしまさか、その話をきかしてくれともいえぬのでそのまま口を噤んで、窓の方に眼をやった。
雨はまだ頻に降っていて、窓を打つ水滴が砕けては流れた。汽車は私たちの気持を少しも知らぬ気に相変らず単調な音をたてて走った。私が再びその人の方を向くと、ちょうどその時二人の視線が打つかった。すると、その人は、私の心の中を察したと見え、にこりとしながら、
「まだ夜あけまでに間があるようですから、一つ私の身の上話を御耳に入れましょうか」といい出した。私は心の中で大に喜んで、同意を表すると、その人は次のような恐しい物語りをはじめた。