Classici giapponesi con furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Leggi 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.140 caratteri · 396 schermate
四
「仰せの通り掃除口の検査をしましたら、意外にも重大な手がかりを得ました。先ず第一に糞壺の中に、嘔いた物が沢山ありました」
「君はそれをどう思う?」
「妊娠した女の悪阻と考えます」
「いかにも立派な推定だ。被害者は妊娠三ヶ月だというから悪阻に悩んで然るべきだ。けれどそれだけでは決定的の証拠とはいえぬ」
「然しそれ以上に重要な第二の手がかりが得られました」
「それは何か?」
「便所の中の紙を取り出して、よく洗って見ましたところ、その中からたった一枚ですけれど、その上に墨で文字の書いてある桜紙が出ました」
「その文字は?」
「ツノダと、三字、片仮名で書いてありました」
四
霧原警部は平素沈着を以て聞えて居るが、この時ばかりは椅子から飛び上らんばかりに喜んだ。
「そりゃ非常な発見だ」と警部は叫んだ。「その紙を見せてくれたまえ」
「今、鑑識課にまわして乾かしてもらってありますから、もうじきもって来てくれる筈です」
そのとき給仕がはいって来て一枚の紙片を渡した。その上には一寸四方位の大きさの字で、中央に「ツノダ」と墨ではっきり書かれてあった。それを受取った警部は、はや、もとの冷静な態度になって居た。