Classici giapponesi con furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Leggi 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.140 caratteri · 396 schermate
六
二人の視線がぶつかった。敏子はうつむいて、黙って手巾で口を掩った。
「どうしたのですか。佐々木君が死んで悲しいのですか?」
敏子が顔をあげてじろりと静也をながめた。その眼は一種の熱情に輝いて居た。
「わたし、恥かしくなったわ」こういって又も俯向いて、声を低くして言った。「この前、あなたにあんな心にもないことを言ったので……」
静也ははっとした。
「そ、それでは敏子さんは……」
「佐々木に済まないけれど……」
静也は熱病に罹ったような思いをして、ふらふらと立ち上って敏子の椅子に近よった。
「敏子さん、本当ですか?」と言って彼は彼女の肩に手をかけた。ふくよかな触感が、彼の全身の神経をぴりりと揺ぶった。
「あなた、電灯を消して下さい」と敏子は恥かしそうに言った。
静也は応接室の入口に備え附けてあるスイッチのところへよろよろ歩いて行って、パチンと捻った。
闇が二人を包んだ。
それから……接吻の音。
六
恋を語るには暗い方がよい。これは誰でも知って居ることである。
あけ放たれた窓から、なまぬるい空気が動いて来る。二人は暑かった。
接吻の後……男は辛抱がなかった。
女は四時間待って下さいといった。