Classici giapponesi con furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Leggi 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.140 caratteri · 396 schermate
と言うに至っては、その男のこの兇行に関係のありそうな事が誰にも察せられるのであります。若し兇器に使用された斧の柄に犯人の指紋が残って居たならば、訳もなく鑑別がつくのにと、署長は頗る残念がりました。そこで署長は、その男に、血染の斧を見せてその反応をうかがうことにし、巡査に命じていきなり、男の前に、兇器を差し出させたのであります。
男は、暫らくの間、じっと斧を見つめて居ましたが、やがて、ニコニコ笑って、
「よし子をかえせ。よし子は殺されたか」
と申しました。
最早署長も手がつけられなくなりました。すると其処へ検事がたずねて来たので、早速不思議な男の逮捕の顛末を話すと、検事は、
「それでは、一応、鯉坂さんに鑑定してもらおう」
といって、男を生理学教室に伴って来たのであります。
鯉坂君は、検事から事情をきいて頗る興奮しました。恐らくその男は真犯人であるらしく、この際それを鑑定するのは条件反射による探偵法より外はないと思いました。若し、この男を、暗室内の犬に近づけて、犬が唾液の点滴を多くしたならば、誰が何と言おうとも、この男が犯人にちがいなく、これによって世界の探偵学に一新機軸を開き得るかと思うと、心臓が肋骨の外へ踊り出すような感じを起しました。