Classici giapponesi con furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Leggi 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.140 caratteri · 396 schermate
コレラの報知は郭松齢の死の報知とはちがい、内務省の役人を刺戟して、船舶検疫を厳重にすべき命令が各地へ発せられたが、医学が進めば、黴菌だって進化する筈であるから、コレラ菌も、近頃はよほどすばしこくなって検疫官の眼を眩まし、易々として長崎に上陸し、忽ち由緒ある市中に拡がった。長崎に上陸しさえすれば、日本全国に拡がるのは、コレラ菌にとって訳のないことである。で、支那人の死ぬのに何の痛痒を感じなかった日本人も、はげしく恐怖し始めた。然し黴菌の方では人間を少しも恐怖しなかった。各府県の防疫官たちは、自分の県内へさえ侵入しなければ、ほかの県へはいくら侵入してもかまわぬという奇抜な心懸けで防疫に従事し、ことに横浜と神戸は、直接上海から黴菌が運ばれて来るので、ある防疫官は、夫人が産気づいて居る時に出張命令を受けて、生れる子を見届けないで走り出した。
が、防疫官たちのあらゆる努力も効を奏しないで、コレラは遂に大東京に入りこんだのである。いつもならば京橋あたりへ、薪炭を積んで来る船頭の女房が最初に罹るのであるのに、今度の流行の魁となったのは、浅草六区のK館に居るTという活動弁士であった。