Classici giapponesi con furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Leggi 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.140 caratteri · 396 schermate
「……とうとう私はある晩、奴を森の中へおびき出しましたよ。いよいよの時になって、私は奴を一歩先へあるかせ、うしろから右の頸筋を、短刀でぐさと突きました。人なみはずれて背の高い奴でしたから、突いた拍子に、頸動脈から、私の右の眼にパッと暖かいものがかかったかと思うと、焼けるように眼が痛み出したんです。恋敵の血という奴は、実に恐しい力があるものですねえ。私は、奴の死骸も、短刀もすてて、右の眼を押えたまま、一目散に町の方へ走って来たんですが、どうにもこうにも痛くて仕様がないので、ある小さな病院へとびこんだのです。
院長は眼科医ではなかったですが、私が三百円ばかりはいって居る財布を投げ出して、(ほかにまだ五百円ばかり、高飛びするつもりで腹巻の中に持って居ましたが)どうか当分のうち入院させてくれといったら、金に眼が眩んだのか、素性もきかずに病室をあてがって、それから眼を診察してくれましたが、珍しい眼の出血だといって、暫らく洗ってくれたから、幸いに出血はとまりましたよ。ヒヒ、とまるのが当り前です。ところが、血はとまっても痛みがどうしてもとまりません。で院長は、とりあえずモルヒネを一筒注射してくれましたが、モルヒネの力はえらいもので三十分たたぬうちに、痛みはけろりとなおりました。