Classici giapponesi con furigana
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うきふね
文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集
泉 鏡花
Leggi 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.938 caratteri · 67 schermate
「野郎。」
かわす隙なく、横ぞっぽうへ、坊主の一棍を浴びながら、塔婆を颯と抜取って、真三は蚊帳を蹴た。――これが庭の方へ遁げられると仔細はなかったのである。
小盾も見えず、姿見を傍に、追って出る坊主から庇うのに、我を忘れて、帷子の片袖を引切りざまに、玉香を包み、信女を蔽うた。
「この野郎。」
ぬっくりと目さきに突立つ。
かかる時にも、片袖きれた不状なるよりは……とや思う、真三は、ツと諸膚に払って脱いだ。唯、姿見に映った不思議は、わが膚のかくまで白く滑らかだった覚えはない。見る見る乳もふっくりと滑らかに、色を変えた面もさながらの女である。
この膚、この腕に、そのトタンに、二撃三撃を激しく撲れた。撲れながら、姿見の裡なる、我にまがう婦の顔にじっと見惚れて、乱れた髪の水に雫するのさえ確と見た。やあ、朱塗の木棍は、白い膚を虐みつつ、烏賊のれが臭を放って、また打つとともにムッと鼻をついた。
「無礼だ、奴入道。」
真三の手が短刀に掛った。
筆者は……実は、この時の会の発起人の一人であった。敢て言を構うるのではないが、塔婆の閨の議には与らない。
槙君は腕の骨を損じた。