Classici giapponesi con furigana
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うきふね
文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集
泉 鏡花
Leggi 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.938 caratteri · 67 schermate
十三
透通るような声が、露に濡れて、もの優しい湿を帯びつつ、
「……巽さん。」
途端に、はっと衣の香と、冷い黒髪の薫がした。
「ああれ、違って……違っているよう。」
十三
蛤の灯がほんのりと、再来て……
「お退きよ、退いておくれよ。」
「よう、お前。」
と言う。……人をつけ、蛤なんぞに、お前呼ばわりをされる兄哥でないぞよ。
「此処は、今夜用がある。」
「大事の処なんだから。」
「よう。」
「仕ようがない。ね、酔っぱらって。」
「臭い事。」
「憎らしい、松葉で突ついて遣りましょう。」
敏捷い、お転婆なのが、すっと幹をかけて枝に登った。呀、松の中に蛤が、明く真珠を振向ける、と一時、一時、雨の如く松葉が灌ぐ。
「お、痛。」
「何うしたの。」と下から云う。
松の上なが、興がった声をして、
「松葉が私を擽るわよ、おほほ、おほほ。」
「わはは。」と浜の松が、枝を揺って哄と笑う。
「きゃッ。」と我ながら猿のような声して笑って、六蔵はむっくと起きて、
「姉等、仕立ものの用はねえか。」と、きょとんとして四辺を視た。
浅葱を飜す白浪や。
燃ゆるが如き緋の裳、浪にすっくと小雪の姿。あの、顔の色、瞳の艶、――恋に死ぬ身は美しや、島田のままの星である。